人間の知性を再現することができるAI(人工知能)は、大きな可能性を秘める技術として注目され、さまざまなことを実現してきました。近年では店舗や機器など身近な場所での活用も増え、AIならではの柔軟な対応力で私たちの生活を支えています。

そんなAIを構成する代表的な技術に、「機械学習」というものがあります。
機械学習はAIの柔軟性を維持するために欠かせない技術のひとつ。多くの企業は機械学習を利用し、自社に合ったAIの活用を可能にしています。

では、この機械学習とはどのようなものなのでしょうか。また、よく耳にするディープラーニングとはどう違うのでしょうか。

今回はAIの機械学習について詳しく解説していきます。

機械学習とは

機械学習とは、AI(人工知能)を構成する技術のひとつ。機械がデータから自動で学習を行い、データ間のパターンや特徴を発見して、それに基づいた判断や推測を行う技術のことを指します。機械自体が学習することで、あらかじめ人間に与えられたデータやプログラム以上のことを実現する技術と考えると、わかりやすいでしょう。
AIが学習することで精度を上げていくことができるのには、この機械学習が関わっています。

情報が溢れ、データが重要な意味を持つ現代社会において、機械学習はさまざまな分野から注目されています。機械学習が、膨大な量のデータの処理や人の目には見えないデータの法則性の発見・予測を可能にするためです。
近年ではディープラーニングの進化も目覚ましく、今後機械学習はさらに高度なレベルで行われるようになるでしょう。

機械学習でできること

機械学習により、AIにできることは大幅に広がりました。その代表的なものが、以下の4つです。

・画像認識
・音声認識
・自然言語処理
・予測

順に説明しましょう。

画像認識

画像認識とは、「画像に写っているものは何か」を認識する技術のこと。機械学習による画像認識は、機械が画像を見分けるルールを自動的に発見することで、認識機能を向上させてきました。

音声認識

音声認識とは音声データを機械が認識し、それに適した反応を返す技術のこと。スムーズに会話したり指定された音を検知したりと、機械学習により音声認識能力は高めることができます。

自然言語処理

自然言語処理とは、私たちが普段コミュニケーションを取るときに使用する自然言語をコンピューターで解析する技術のこと。人間が話し言葉や書き言葉として使う曖昧な言葉の解析にも、機械学習が役立ちます。

予測

機械学習は、機械が学習した経験に基づく形での予測を可能にします。膨大な量のデータを分析していく中で経験を積めば、その予測の精度は向上します。

機械学習の種類

機械学習の手法は、大きく3つに分けられます。それが、「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」です。
それぞれどんな手法なのか、詳しく見ていきましょう。

教師あり学習

教師あり学習とは、事前にAIの学習データに正解を与えた状態から、学習を行わせる機械学習の手法です。あらかじめ与えた入力データとそれに対する出力データをAIは学習し、その関係を分析・認識して、応答の予測を行います。

学習・認識・予測というプロセスで構成される教師あり学習は、株価予測や気象分析、生物のカテゴライズなど、明確な正確がある場合に用いられます。また、教師なし学習に比べると学習精度が高いことから、利用される機会も多くなっています。

教師なし学習

教師なし学習は、事前にAIの学習データに正解を与えず、学習を行わせる機械学習の手法です。AIは一連の入力データからそのパターンや特徴を分析し、自動的にデータのグループ分けや特徴づけを行います。

あらかじめ正解を与えない教師なし学習は、明確な正解・不正解の基準がない事象に用いられます。正解がない分精度は下がるものの、人間には発見できない法則を見つけ出せるメリットがあることから、ECサイトのレコメンド機能などに活用されています。

強化学習

強化学習とは、初めから入力・出力ともにデータを与えることなく、AIシステム自体が試行錯誤し学習していく方法です。目的を達成するために動作的な試行錯誤を繰り返し、その結果を経験として学習して、最適な方法をAI自らが見つけ実行していきます。
人間の介入を必要としない点が、強化学習の大きな特徴です。

強化学習の手法で学習したAIは、今後自動運転やロボティクスなどの高度な産業分野での活用が期待されています。

機械学習とディープラーニングの違い

AIや機械学習と並んでよく耳にする言葉に、「ディープラーニング」というものがあります。
ディープラーニングは深層学習とも呼ばれる技術で、機械学習とは包含関係にあります。つまり、ディープラーニングは機械学習の手法に含まれる技術なのです。

そもそもディープラーニングとは、人間の神経細胞の仕組みを模したニューラルネットワークによってより高精度な分析を可能にする技術のこと。機械がデータから学習・分析・推測を行う機械学習の手法のひとつとして注目され、AIのより高レベルのパフォーマンスを実現しています。

機械学習の活用事例

ここからは、AIの機械学習を産業に活用した具体事例を2つご紹介します。

ファンケルの「AIパーソナル肌分析」

化粧品メーカーのファンケルが2021年に開始したのが、「AIパーソナル肌分析」。非接触の状態でAIが肌分析を行うというサービスです。
このサービスでは、撮影した顔写真をAIが画像認識する技術によって実現したもの。AIは、画像認識から得た情報を同社研究所監修の16の質問による情報とともに分析し、肌状態を6項目に分けて測定します

これまでの肌診断は、化粧品カウンターのスタッフが測定機械を顧客の肌に当て、実施するのが一般的でした。コロナ禍においてこのような接触型の診断は避けられるようになりましたが、AIの画像診断を用いることで非接触型の肌診断が可能に。同社の強みであるカウンセリングを通した化粧品の販売を非接触で行うことに成功しています。
(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000824.000017666.html

DeNAの配車アプリ「MOV」

株式会社DeNAでは、2019年に次世代タクシー配車アプリ「MOV」の提供を開始しました。
「MOV」の大きな特徴は、AIによってタクシーの配車の需要と共有を予測できることです。AIは、街を走るタクシー車両から得る情報を分析し、需要と供給を加味しながら、タクシーを待つ顧客の元へとタクシーを誘導してくれます。

AIの予測機能を用いたこのサービスを用いれば、タクシーは顧客を探すために長時間街を流す必要がなくなります。さらに、新人ドライバーでも顧客を獲得しやすく、顧客側もタクシーを捕まえやすくなるでしょう。このようにして、「MOV」の利用によって、タクシー会社は収益アップや人手不足解消を狙うことが可能です。
(参考:https://dena.com/jp/press/4550

まとめ

機械学習についてご紹介しました。
機械学習は、AIを支える重要な技術です。ディープラーニング技術の向上もあいまって、今後AIは医療や自動運転など、より高精度な分析・予測が必要とされる分野で活用されていくでしょう。

機械学習を行うAIは、身近な電子機器やビジネスツールにも搭載されています。これらの導入が、企業の非効率を改善したり的確な戦略策定に役立ったりする可能性は十分に考えられます。
AI搭載のツール導入を検討するのも、企業の競争力アップを目指すための一手段として有効でしょう。